CDプレーヤーとアンプ
AIRBOW Little
Cosmos3 ¥110,000(セット・税込)
カーペンターズ「ゴールド」 UICY1100
7曲目 “Rainbow
connection
Tannoy
Reveal601p
高域が非常に伸びやかで音の芯がシッカリしている。イントロ部のオモチャのピアノの音が透き通って天井に吸い込まれるように上に上に気持ちよく伸びて行く。
前後方向、横方向への音の広がりは自然で、スピーカーを中心とした球状に音が広がる。
カレン・カーペンターの声にも癖がなく、子音はクッキリするがざらつき感はない。
中音には適度な厚みがある。
製品の価格なりにエンクロージャーはやや華奢だが、低音がサイズを超えるほどに欲張りすぎないので、このクラスの水準を超えてしっかりとまとまっている。難を言えば、時々高域がややハードに感じられることだが、価格を考えた場合これはある程度妥協せざるを得ないだろう。
とにかく、価格を疑うほど自然な良い音で音楽を聞かせてくれる立派なスピーカーだ。この価格帯の国産品でこういう音楽を楽しめる音が出るスピーカーには、まずお目にかかれない。
Wharfedale Diamond10.1
(サランネットなし)
高域の透明感と伸びやかさは、Reveal601pほどではないが、質の高さはそれを明らかに上回り、聞こえなかった細かい音や空気感が感じられる。ツィーターの音がReveal601pより上質で、一音が出た瞬間に高音の細やかさ、響きの美しさが違うのが聞き取れる。
スピーカーのサイズが一回り小さいにもかかわらず、低音もReveal601pに遜色ない。
共振しにくいエンクロージャーの形状と、小型故に高い剛性のお陰でベースの音階はReveal601pよりも明瞭だ。
Diamond10.1は、Reveal601pに比べ無駄な音が少なく、全体的に引き締まった感じの音の出方をする。しかし、Reveal601pのちょっと牧歌的で緩い音の広がりの良さも捨てがたい。
この価格帯では群を抜く質感の高い音、高級スピーカーに通じるHiFiなサウンドを聞かせてくれるスピーカーだ。
(サランネット付き)
ネットがなければグイグイと前に出て来ていた高音が適度に拡散されて、スピーカーを中心にふわりと柔らかく広がるようになる。
ボーカルのニュアンスの細部の明瞭度は少し後退するが、子音のキツさが和らぎ全体としてのまとまりとしなやかさが出て、カレンの声がより女性らしい優しく色っぽい声になる。
低音も適度に拡散されて広がるようになり、響きにゆとりが出る。
ネットを付けることで刺激が薄れまとまりが出る。長く聞くにはこの音の方が聴き疲れしないが、短時間で「良い音を聞いた」という刺激が欲しいならネットは外す方がストレートに音を聞ける。いずれにせよネットのあるなしで音質は明確に変化するから、ムードに合わせて使い分けると良さそうだ。
IMAGE11/KAI2
音の広がりが最も自然でストレスがない。声も伸びやかで人工的な着色がまったく感じられず、直接肉声を聞いているようなニュアンスで音楽を聴ける。
ハーモニーの分離、ボーカルと伴奏の分離にも優れ、音と音の隙間が最も広い。声の抑揚や表情も細かく出る。
低音は絶対的には出ていないはずなのだが、不思議に低音不足を感じさせない。
無農薬有機栽培野菜のような感じの自然で有機的な味わいを持つサウンド。付け加えて、他の2機種より明らかに音が明るく音楽を聞くのが楽しい。カーペンターズを聴いて、最も心が軽くなったのがこのスピーカーだ。
Micro 「MAX OUT」 UMCF-1010
1曲目から
Tannoy
Reveal601p
価格を考えると仕方ないが、低音が軽くやや遅い。高音にもややざらつきが感じられる。
低音の力が緩く、パワーが拡散した響きになってしまい、音が前に出足りないと感じることがある。カーペーンターズを聞いた時にJ-POPとはマッチしそうに思っただけに、以外に音が弾まなかった。
しかし、それでも全体的には十分な低音の量感を持つバランスの良い音は、音楽を楽しく聞かせるし、業務用のスピーカーらしく癖がなく、控えめな表現と相まって音楽を分析しうるモニターとして十分な音質を持っている。
外観は現代版モニターだが、実際には打ち込み系の音よりもアコースティック系のサウンドの方が得意なようだ。
Wharfedale Diamond10.1
低音の押し出しや、しっかりした感じではReveal601pを上回る。しかし、全体的に力がなく元気良く聞こえないのはDiamond10.1にも共通する欠点だ。もしかするとアンプの力が足りないのかも知れないし、もうワンクラス上のアンプを使えば、このパワー不足感が解決するのかも知れないが、今までPM5003/LC3の力が足りないと感じたことはなかったから、やはりこれは2機種のスピーカーに共通する性格と考えるのが妥当だろう。
高域の切れ味、分解能はReveal601pを上回り、十分なクォリティーだが、なぜか音がスピーカーにへばりついて離れず音場空間が上手く広がらないので、音楽が思ったほど躍動しない。
このソフトはハイエンドショウ東京でも使った。録音が悪いとは感じなかったが、Diamond10.1とReveal601pで聞くと録音の悪いJ-POPに聞こえてしまう。
スピーカーが悪いというのではなく、ソフトが上手く鳴らないという印象だ。
IMAGE11/KAI2
打ち込みの低音を先の2機種と比べると、さすがに軽くて量も少ない。
しかし、高域の広がり感や元気の良さではDiamond10.1やReveal601pを凌ぎ、音楽はハッキリと躍動する。
先の2機種と比べて明らかに違うのが「低音の早さ」だ。
低音の量は少なく軽いものの、低音が立ち上がるスピードが圧倒的に速いのでベースラインが明確に分離し、リズムセクションがしっかり弾む。
どんな量感のある低音が出ても、リズム楽器としての明瞭なタイミングが感じられないければ音楽は躍動しないことが、この3機種のスピーカーを比べることで理解できる。
低音は量ではなくなく質。低音は速度がポイント。ロックにとっては低音の早さこそ命で、歯切れ良さがソフトを生かす。それがIMAGE11/KAI2を聞くととてもよくわかる。
CANTATE
DOMINO PRCD7762
9曲目
Tannoy
Reveal601p
Reveal601pの最大の美点である、豊かでリッチに響く低音が最も生かされるソフトとしてカンターテドミノを選んだが、その思惑はピタリとはまった。
価格を絶対に信じられないほど豊かな中低音と、伸びやかで分解能の高い透明な高音。システムの総額が15万円を切るとは到底信じられないほどの豊かな音楽性でカンターテドミノが見事に鳴る。
実はこのスピーカーのテストと時を同じくして「キソアコースティック」から発売されている130万円の小型スピーカーを聞いたのだが、HB-1の「消費税分」にも満たないReveal601pがカンターテドミノなら同等の音で鳴る。HB-1にそれに見合うCDプレーヤーとアンプを奢り、AIRBOW
Little Cosmos3+TANNOY Reveal601pのセットをブラインドですり替えたなら、もしかするとどちらか判断できないだろうと思うくらい見事な音でカンターテドミノが鳴る。3号館に設置しているシステムに当てはめるとしても、スピーカー込みで100万円程度のセットに匹敵するのでは?と思えるほどの素晴らしい音だ。
業務用と言ってもタンノイはやはりタンノイ。穏やかで柔らかく、包み込まれるようなその音はクラシックや穏やかなジャズ、バラードを聴くのに最も適していることがよくわかった。
Wharfedale Diamond10.1
このスピーカーもカンターテドミノに良くマッチする。しかし、その鳴り方はReveal601pとはすこし違う。響きが豊かでリッチに鳴ったReveal601pに比べるとDiamond10.1は、もっと緻密で真面目な音だ。サービスの少ない?音と言えばよいのだろうか?絶対的には十分に良い音なのだが、Reveal601pを聞いた後ではボリューム感がやや不足する。
しかしDiamond10.1は、カーペンターズで感じた女性ボーカル高域の質感の高さでReveal601pを凌駕した。ややルーズだけれどリッチで響きの良いタンノイ。それより少しHiFiに振られたワーフデール。時代が流れ、メーカーの名前が形骸化してしまった今でも、不思議とオリジナルが持っていた音質傾向がしっかりと継承されている。それはとても不思議なことだ。
IMAGE11/KAI2
例えばReveal601pと切り替えて聞き比べるとその低音不足は明らかだ。しかし、単独で聞いている限りパイプオルガンの低音もはっきり聞こえ、不思議と低音不足を感じないから面白い。
IMAGE11/KAI2が他の2機種とハッキリ違うのは楽音の大小の対比が明瞭で、音の小さな変化や違いが聞き分けられることだ。だから、似た音が重なった部分の分解能が高く感じられ、コーラスの人数が明らかに多くなる。さらに音の表情の出方に違和感がなく、生楽器のように鮮やかに音が変化するから、まるで生演奏を聞いているような自然な感覚で音楽を聴ける。
バランスの妙というのだろうか?こんなに小さいにも関わらず、本当に不思議と不満を感じない音でカンターテドミノが鳴る。不満がないというのは飽きないと言うことでもあるし、これで十分満足できるということでもある。こんな小さなスピーカーでも大編成のミサ曲が納得して聞けるという不思議な充実感は、その外観からは決して想像できないし、なおのこと文章では伝わらないだろうと思う。