とにかく「DENONには驚いた!」というのが正直な感想だ。marantzの2機種に関しては、従来モデルの正常進化型で「その改善は理解の範疇」にあるが、DENONの2機種は「私の想像を遙かに超えたレベル」にいきなり達したばかりか、国産製品では「何ら気になる部分がなく音楽に集中できる希有なレベル」にまで到達している!
これまでmarantzやDENONといえばAccuphaseやLUXMANなどの「ピュア・オーディオ専業メーカー」にくらべて「趣味性がワンランク劣る」というのが今までの市場の評価であったと思うが、ここに来て「その常識は完全にDENONによって覆された」と断言したい。少なくとも「DCD−SA1」と「PMA−SA11」は、私自身にその存在と価格を納得させた、2000年以降の日本製品で「唯一の存在」かも知れない。良い意味で最近のDENONらしくない素晴らしい音質だ。大きな驚きと好感を持って、このモデルを受け入れたい。
marantzの2機種も決して悪くないし、DENONという選択肢がなければその価格帯域ではそれぞれ「最高」の点数を付けてあげても良い。だが、DENONの2機種を聴いてしまうと・・・やっぱり僅差だが、DENONに「金メダル」をあげたくなってしまう。たぶんそれは、「予想できたmarantzの音」に対して「予想を裏切られたDENONの意外な音質」に驚いたせいも多分にあるだろうとは思う。
なぜならDENON製品は、1980年前後に発売されたモデルから「どんどん音が悪くなる一方」で最近のモデルは、「はっきり言って聴くに値しないほど悪い音」になっていたからだ。特にCDは、酷かった。DCD−1650××シリーズもダメだったし、DCD−S10×シリーズもとてもじゃないが胸を張ってお薦めできる音質ではなかった。それがDCD−S10LTDあたりから少し傾向が変わり「音楽が聞こえ始め」たが、それらのモデルではまだ十分ではなかった。はっきり言ってmarantzの同価格帯の製品よりもDENONの音質は、ワンランク以上劣っていた。
それがどうだろう・・・このモデルでは・・・一体何が変わったというのだろう? 偶然なのだろうか・・・? しかし、CDもアンプも両方とも音が良いというのは、ただの偶然ではないはずだ。 親会社が同じ「D&Mホールディングズ」になり、兄弟会社になったことと今回のDENONの躍進は無縁ではないかも知れないけれど(少なくとも開発は完全に別々に行われているのは間違いないのだが・・・)とにかく、ここしばらくろくな製品が出なかった「ピュアオーディオ」にいきなり、marantzとDENONからこんなレベルの高い製品が4機種も発売されたのは、とても素晴らしいことだと思う。
話は変わるが、最近のAIRBOWのモデルは「サラウンド/ホームシアター対応品」ばかりで「ピュアオーディオ製品」の新製品は発売しないのか?という声を良く聞く。しかし、それは決して「怠慢」ではない。あまりにもAIRBOWだけが進歩しすぎて「ライバルが不在」だったからだし、現時点でのAIRBOW製品の能力以上の音質は「不要」だと断言できるほど、その音質が優れていると自負するからだ。
しかし、今回発売された4製品を聞いていると「やっとライバルが現れた!(理解できる価格のライバルという意味)」と実感できるのがとても嬉しい。ピュアオーディオの救世主となるには、遅すぎたかも知れない。遅すぎるかも知れない。けれど、ステレオで聞く音楽には、「抗しがたい何か」がある。それが、これらの4機種とAIRBOWを聞き比べるとひしひしと伝わってくる。
すでに逸品館「1号館」の店頭では、この4機種があなたが訪れるのを待っている。専用の試聴室には設置していないから、環境は決して良くない。それでも、「聞き比べる」ことで、この4機種のそれぞれ良さはわかるし、AIRBOWがモデルチェンジしない理由もご理解いただけると思う。
そして何よりも気づいて欲しいのは「AIRBOWも含めたそれぞれの音質や音楽のニュアンスに大差がない」ことだ。それこそ「メーカー」・「モデル」の「垣根」を越えて、それぞれの製品が「シッカリと元の演奏を再現している/再現できる」証拠に他ならない。ついに、CDの誕生以降に発売された、国産オーディオも「音楽の真実」に触れることが出来るようになったのだ。これは大変な驚くべき進歩だ!
アテネ・オリンピックでは、団塊の世代以降の若者達が「メダルラッシュ」を巻き起こしている。同じように、marantzもDENONもAIRBOWも逸品館のスタッフも、団塊の世代以降の生まれだ。
あきらめたら、明日はやってこない。あきらめずに正しい努力を続けることだけが「メダル」への近道なのは、スポーツもオーディオも同じ。新たな仲間が加わったところで、さあお気に入りのディスク(CDでもSACDでも可能)を手にとって「1号館」に駆けつけて欲しい!
そこで聴く「音楽」には、努力によってのみ培われる「確かなオーディオの未来」が感じられるはずだから!